• 中国の成長と衰退の裏側

◎内容紹介

現場を歩くビジネスマンだからこそわかる、「どうすればいいの?」と迷っている、中国と関わらなければならない日本企業、日本人への指針。
日本にとって、いまや米国以上、最大の貿易相手国になっている中国であれば、もはや切っても切れない両国関係である。すでに多くの日本企業、日本人が関わらざるを得ない状況に来ている。
そうであれば、局所的、一面的な中国事情論をかざして不安を煽るばかりではなく、いかに友好的に前に進むかを模索しなかればならない。
そんなこれからの道を、直接中国の現場で360°見渡す著者が、中国の生活・文化・経済・政治についてバランスよく解説する。

 

 

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紀伊國屋 丸善&ジュンク堂書店&文教堂 旭屋書店

発売:2013 / 06 / 12
ISBN978-4-88181-833-6
256ページ
価格:1,680円(税込)
著者:和中清

 

◆著者略歴

和中清(わなか・きよし)
独立行政法人科学技術振興機構[中国総合研究交流センター]ステアリングコミッティ-委員。
監査法人、経営コンサルティング会社を経て1985年に(株)インフォームを設立、代表取締役就任、1991年より中国投資のコンサルティングに取り組み、大手、中堅、中小企業の中国ビジネスの協力を行う。また自らも大学、中国空軍との合弁、合作事業や中国で直営店を設置して日本製品の直接販売事業を進めた。
1994年、「上海ビジネス研究会」を発足。
2002年、朝日新聞シンポジューム「日本経済再生の戦略を考える」講演。
2009年、独立行政法人科学技術振興機構[中国総合研究交流センターHP]にて「和中清の日中論壇」開始。
2011年、新春全国経営者大会にて「日本企業の中国戦略」講演。


主な著書に次のようなものがある。
『経営コンサルティグノウハウ』PHP研究所
『中国市場の読み方』明日香出版社
『中国マーケットに日本を売り込め』明日香出版社
『2020年までの中国戦略(DVD)』インフォーム
『中国が日本を救う』長崎出版 他

URL:www.inform-kw.co.jp

 

<本書の内容>

はじめに

「どうすればいいの?」中国と関わらなければならない日本人への指針

第1章 算数と感受性でつかむ中国経済

1.店員の笑顔といらっしゃいませで物価が上がる
2.掛け算の中国、割り算の中国
3.難しい経済理論より算数でわかる中国経済
4.中国ではGDPも中央と地方が喧嘩をしている
5.中国では週刊が法律をやっつける
6.「先に豊かに」のほんとうの意味は「後の我慢」
7.農民工の故郷の両親への仕送りは年20兆円

第2章 「中国経済は投資依存で消費が問題」は嘘

1.「中国は投資依存で個人消費が問題」はどこか怪しい
2.“ごちゃまぜ”で見ても中国はわからない
3.皆が「私の家」をめざせば貯蓄が増え消費は下がる
4.まもなく農村にクリーン、クーラー、カーの3C時代がくる
5.裏経済が消費を隠す
6.気合が支える裏経済
7.富裕層も籠一杯の野菜が20元の消費者、二つの顔が消費に影響する
8.大鍋の飯は民間消費を押し下げて行政費を高める

第3章 裏経済がわかれば中国が読める

1.民営経済と共に裏経済が拡大し、役人も“留薪留職”に励んでいる
2.“発票はいらんかえ”と街角でニセ領収書が売られる
3.売春、黄色産業収入は東莞だけでも年6000億円か
4.低い消費も裏経済で説明できる
5.裏経済はGDPの20%? をはるかに超える
6.なぜ裏社会は拡大するのか
7.中国は社会主義国か資本主義国か、そんなことはどうでもいい
8.世界一高い鉄と自動車販売2000万台の謎
9.千万元、億元富豪は発表より多く、実はもっとお金持ちが多い
10.表と裏の経済が支え合い、中国はまだ成長を続ける

第4章 中国経済はなぜ成長したか、成長はいつまで続くか

1.中国を表わす言葉は“限”
2.“持たざる国”の強みが中国をチャレンジ、実践の国に変えた
3.中国は複雑、「中国はどうですか」に答えはない
4.“私は私”の意識が不況に強い経済をつくる
5.「放置すれば乱れる」中国には分散のエネルギーも充満している
6.「社会保障を抑えて投資を進めた」その政治力が中国を変えた
7.「成長の大回廊」が姿を現し、地元就職率80%の内陸学校が出始めた
8.13億人の人口圧力が中国経済を戦略的にした
9.面子主義史上経済の中国は13億人の面子がGDPを押し上げる
10.オンリーワンは遠い先、“第一のコンプレックス”の中国
11.薄型テレビの出荷が都市を超え農村の面子市場が拡大する
12.中国の成長を支えた農民工にも変化の時代がきた
13.2020年、中国のGDPが米国を超える
14.2020年に向かう5つの成長条件が揃っている

第5章 中国リスクは、あるかないか、どんなリスクがやってくるか

1.やがて崩壊すると言われ続けた中国、いまだに元気なのはなぜか
2.6億人の極貧がいるとも語られ中国の問題は誇張される
3.成熟社会のイメージで中国を見ればリスクばかり目立つ
4.中国リスク、その10のポイントを整理する
5.鄧小平後、カリスマ性のある政治家はいない。だから政治が変わる
6.中国政治が尊厳を求め、軍は威厳を求める
7.「ディナーを食べ終わった国の意見を押し付けるな」が高じれば面子が暴走する
8.日中問題は複雑、日本が鉄砲玉を演じてリスクが生まれる
9.中国では格差すらもパワーの源、格差即リスクではない
10.急激な所得分配改革リスクを孕む
11.中国社会の活力低下のリスクも見え始めた
12.中国のバブルと日本のバブルは違って崩壊しない
13.コストが上がるが市場も拡がる。個別企業の中国事業シルクは個々の企業の考え方、取り組み方で変わる

第6章 落日の中国

1.中国経済の衰退をもたらす三つの社会構造問題がある
2.政府も個人も誤解の中で社会がバブル化している
3.中国社会のテーマは強調、しかしそれでは自己本位と対立する
4.腐敗は政治問題として解決できず、改革には60年が必要
5.社会主義と党体制を維持するために行政組織が配置され、そこに生じるムダが財政問題となる
6.中国は低人件費の社会だったが高コストの社会でもあった
7.急速に中国社会の高コスト化が進む
8.空を飛ぶ経済が中国社会から“まじめさ”を奪う
9.仮の宿で暮らす富裕者が増えて狩猟型経済が鮮明になる
10.製造業が衰退し2020年を過ぎれば世界の工場は終わる
11.13億人の高度産業社会は幻想。中国は大きな誤解の中を進む
12.中小企業の倒産が増え大量失業時代が来る
13.サービス経済が伸びず産業構造の転換に問題が出る
14.2020年を過ぎて中国経済が急降下を始め、落日の中国がくる
15.社会主義の看板費用、養老年金と補助金支給が財政を圧迫する
16.中国は投資必然経済、さらに面子投資が財政を圧迫する

第7章 日中問題の行方と日本企業のこれからを考える

1.2012年9月18日、反日デモが吹き荒れた中国で何があったか
2.デモを通して民意の空気を読まざるをえない中国が見える
3.反日デモは政府が許さざるをえない集団行動のまたとない機会
4.民意の中身はごちゃごちゃ。だから認めて認めない悩ましい政府の対応
5.東京都の尖閣買い付けも憲法改正への露払い、先を読んだ義憤か
6.GDP世界2位、空母も就役して面子と共に民族意識が高まる
7.グローバル化の中国を忘れてあたふたすれば、日中対立は常に起こる
8.尖閣問題は解決しないことが解決の道
9.尖閣というちっぽけな島のために戦争ができますか
10.中国の政治はどこに向かうか
11.品質がコストと勝負できる時代が来る。中国市場に日本を売り込め
12.内向き嗜好緒が日本を滅ぼし、世界から取り残される
13.今は我慢の時代、逃げれば戻っても相手にされない
14.中国事業の成功には社会技術を高めること、それは時に固有技術より重要
15.大変と面倒で遠ざけたことを掘り返せば宝の山が見える
16.社会技術を高めれば、労働生産性も高まり利益が生まれる
17.日本的な情緒的管理の問題に気づけば利益を取り戻せる

おわりに